みなさんこんにちは、田舎の精肉店肉処とよた略して『肉とよ』です🍖
美味しさ自慢の代々続く銘柄や血統?
のびのびとしたストレスフリーな環境?
牧場主さんからの惜しみない愛情?
もちろんそれらをなくしても叶いませんが、
そう、つまりは出荷されるまで毎日食べ続けていたエサなんです。
今回は、その『飼育用飼料』について肉とよ的に解説していこうと思います☆
飼料によって肉質が変わる
食肉用牛は、与えられるエサによって「牧草飼育」と「穀物飼育」とに分かれます。
オーストラリアやニュージーランドでは基本的に「牧草飼育」が用いられており、アメリカやカナダ・日本では「穀物飼育」が主流となっています。
牧草飼育
繊維の多い自然の牧草やワラなどといった、粗飼料で牛を育てることを「牧草飼育」といいます。
時期によって、牧草を発酵させた”サイレージ”などを与えることもあります。
牧草飼育された牛は肉に特有の臭みがあり、オーストラリアから牛肉輸入がはじまった当初は人気薄でした。
現在ではエサの改良も進み、臭みはかなり改善されています。
牧草飼育された牛の特徴としては、赤身が多くかため 且つ低脂肪でヘルシーという一面もあります。
このことから、牧草飼育の輸入牛肉はハンバーガーなどの原材料にされることが多いです。
また牧草飼育は「グラスフェッド」とも呼ばれています。
grass=牧草・fed=食物 を与えられることで、ストレスのない放し飼いで良質の草を食べて育った、という意味なのだそう。
グラスフェッドの牛(牧草牛)の乳で作ったバターをグラスフェッドバター、そのほかグラスフェッドビーフ、ミルクなども注目されているのをご存じでしょうか?
そもそもグラスフェッドが注目されるきっかけになったのは、バターコーヒーダイエット(完全無欠コーヒーダイエット)。
コーヒーにグラスフェッドバターを入れて飲むバターコーヒーには抗酸化作用があり、アンチエイジングも期待できるんだとか。
赤身中心のお肉には、旨味がありつつも低脂肪&低カロリー‥さらには話題のオメガ3脂肪酸も豊富!
脂肪の燃焼効果も期待されることから、ダイエットにはもってこいなお肉でもあります。
聞いた話では、ファッションブランドの美女PRたちは赤身肉に夢中で、さらにそれが進化して今はグラスフェッドビーフしか食べたくない!という現象も起きているんだそうですよ☆
穀物飼育
トウモロコシや大豆・小麦・イネなどの高カロリーな濃厚飼料で牛を育てることを「穀物飼育」といいます。
grain=穀物・fed=食物として、こちらは「グレインフェッド」と呼ばれています。
栄養価の高い穀物を大量に与えることで、短期間で牛を肥育し太らせることが可能となります。
また、穀物飼育された牛は匂いもなく、脂肪のついたやわらかいお肉になりやすいです。
日本人はサシが多い霜降り肉が好きなため、日本で育てれる牛のほとんどは穀物飼育が主流。
しかし、そもそも牛は草食動物。
牧草などに含まれる繊維や栄養素には胃腸を丈夫にする働きがあるため、穀物飼育した牛であっても、粗飼料は多少なりとも必要になります。
繊維質が消化できない未熟な胃腸に濃厚飼料を与えてしまうと病気や発育不全を引き起こすこともあるんだとか。
そのため、子牛のときに母乳のほかに粗飼料を与えることで胃腸を整え、しっかりと消化できるように促すのです。
広大がため、のちに食感を求めて
もともと牧草を食べていた牛を穀物飼育しようという発想は、どこで生まれたのでしょうか?
その昔、アメリカ大陸へ移住したヨーロッパ人は広大な原野を開拓し、そこでトウモロコシなどの穀物を栽培するようになりました。
この広大な土地を活かした大規模経営が進むと、1930年代には余剰穀物を持て余すようになりました。
そして20世紀半ばになると、余剰穀物を利用した「畜産革命」へと移行します。
こうして、穀物を牛のエサとして使用するようになり、大規模肥育がはじまったのです。
そんなアメリカでの飼育方法は基本的には自然放牧。
繁殖も自然交配・自然分娩で行っていおり、生後6~7ヶ月は母乳、それ以降は牧草を中心とした粗飼料、牧草がなくなると綿実や大豆が与えられるんだとか。
牛の月齢の厳密な特定が難しいこともあり、日本向けの輸出では厳しい検査の結果、合格した牛肉のみの出荷となっています。
BSE問題なども含め、その輸入量はピーク時の10分の1ほどにまで減少しています。
一方で、メキメキと頭角を現したのはオージービーフで知られるオーストラリア地域の牛肉。
牧草飼育が主流でしたが、現在はやわらか&霜降り大好きな日本人向けに穀物飼育もさかんに行われています。
食肉用として輸入されるオージービーフは、生後80日目以降の穀物飼育期間によって
- ショートフェッド(80~150日)
- ミドルフェッド(150~180日)
- ロングヘッド(180日以上)
に大きく分けられ、”ロング”になるほどサシ(霜降り具合)も多く入ります。
”ロング”はおもにレストランで、”ミドル・ショート”はスーパーなどで精肉として販売されています。
まとめ
牛肉は「海外産か国産か」「国産牛か和牛か」だけではなく、「どんなエサで」「どのように育てられたのか」も大事な要素です。
当たり前ですが、見落とされがちなこと‥牛肉の味は、牛が食べるものによって変わるんですね。
牧草飼育のヘルシー志向か、穀物飼育の霜降りを選ぶのか。
なんとも奥深い世界です。
今日食べる牛肉がどんな牛肉なのか、そんなことを思いながら食べるのもツウに近づく一歩、かもしれません。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。